【導入事例】470級世界選手権(470 World Championship) 2026の国際配信CGに、HAWKCASTのリアルタイムGPSデータが採用

大会概要
– 大会名:2026 470 World Championship
– 開催日:2026年8月10日(月)〜 8月17日(月)
– 会場:神奈川県藤沢市・江の島ヨットハーバー
– 参加規模:28カ国・74艇
– 主催:470クラス協会(International 470 Class Association)


はじめに

国際大会の映像配信でリアルタイムGPSデータが3DCGに変換され、世界放送に使われる。これは弊社N-Sports tracking Labにとって初めての取り組みであり、セーリング中継の新しい可能性を示すものとなりました。

 


国際配信に採用された3DCG — 世界放送での活用

3DCGで実現した「見えるレース」

470級のレースは、広大な海面を複数の艇が縦横に駆け抜けます。カメラの映像だけでは、どの艇が何位にいるのか、誰がどの戦術を取っているのかを視聴者が掴むのは困難です。

今大会では、HAWKCASTが収集した全艇のリアルタイムGPS位置データを3DCGシステムと連携。配信映像に重ね合わせるグラフィックスとして、以下の2つの形式で世界放送に提供されました。

① 順位リスト(Live Leaderboard)
各艇のリアルタイム順位を映像上に表示。どのチームが首位を走り、どの艇が接戦を演じているかを、視聴者が一目で把握できます。上記画像の選手リストがグリーンバックになっており、ドローン映像やボート上からの映像などにすぐにクロマキー合成ができます。

② 3DCG Mapビュー
レースエリアを俯瞰した3D地図上に、全艇の位置を1秒ごとにリアルタイム描画。風の振れに合わせて艇団がどう動くか、タック・ジャイブのタイミング、マーク回航時の混雑——セーリング特有の戦術的な駆け引きが、立体的な映像で世界に届けられました。

CGプレビュー映像

↑ HAWKCASTのGPSデータを用いた3DCGのプレビュー映像

世界放送(国際配信)での実際の活用映像

↑ 470世界選手権2026の世界配信映像。順位リストと3DCGマップが確認できます


技術的な挑戦 — 夏の江ノ島・鎌倉、LTE混雑との戦い

最大の壁:観光地のLTE混雑

世界放送に耐えうるデータ品質を実現する上で、最も苦労したのは通信環境でした。

レース海面は江ノ島沖の沖合。8月の海水浴シーズンと夏休みが重なり、江ノ島・鎌倉エリアは国内屈指の観光混雑地帯になります。海岸や観光地に集まる大勢の人々がスマートフォンを使い続ける中、LTEの基地局はキャパシティの限界に近い状態となります。

その結果、GPSトラッカーからのデータ送信が断続的に途切れる現象——「データ飛び」が発生しやすい環境となりました。

レース中に位置データが数秒欠落する。3DCGの映像に反映されれば、艇が突然ワープしたように見えてしまいます。世界配信でそれは許されません。

 

解決策:位置予測処理によるスムージング

この課題に対し、弊社が導入したのが位置予測処理(スムージングアルゴリズム)です。

直前の速度・方位・経過時間から艇の現在位置を予測し、通信が途切れた区間のデータを補完。受信データが戻ってきた際には、予測位置と実測位置を滑らかにブレンドして繋ぎます。

これにより、通信が不安定な状況でも:
– 3DCG上で艇が自然な動きを維持
– 順位リストの不正な入れ替わりを防止
– 世界放送に耐えうる品質のデータストリームを維持

夏の沖合という最も過酷な通信環境の一つを、アルゴリズムで乗り越えた形です。


ライブトラッキングとリプレイ

国際配信CGに加え、従来通りのHAWKCAST機能も提供しました。

ライブトラッキング: 大会期間中、観客やファンがスマートフォン・PCからリアルタイムで全艇の位置を確認。江ノ島の浜辺や観戦エリアで、手元の画面で選手を追いかける光景が広がりました。

レースリプレイ: 全レースのGPSデータをリプレイとして保存。選手・コーチが任意のレースを任意のタイミングで再生し、戦術の振り返りや他艇との比較分析に活用できます。


大会ハイライト — 磯崎/関ペアが4位入賞

レースの結果にも触れます。

順位選手
🥇 優勝Martin Wrigley / Bettine Harrisイギリス
🥈 2位Theresa Löffler / Christopher Hoerrドイツ
🥉 3位Jordi Xammar / Marta Cardonaスペイン
4位磯崎哲也 / 関友里恵(JPN22 Racing)日本

日本の磯崎哲也/関友里恵ペアは、大会4日目に総合2位に浮上し、メダルシリーズ(上位10艇による最終決戦)に日本勢として唯一進出。メダルシリーズ第1レースでは1位フィニッシュを果たし、表彰台まであと一歩に迫りました。

台風の影響で北東風(陸風)が吹く異例のコンディションの中、戦術的な判断が問われるレースが続きました。弊社のライブトラッキングを通じて、その駆け引きを世界中のファンにリアルタイムで届けることができました。


今後に向けて

今大会を通じて、HAWKCASTのGPSデータが国際大会の世界配信CGという新領域に踏み出しました。

通信品質の課題は位置予測処理で乗り越えましたが、よりシームレスなデータ提供を実現するため、3キャリア対応のトラッカーや、RTKを用いた高精度トラッカーの評価を進めています。センチメートル単位の精度でのリアルタイム位置情報共有が実現すれば、リコール判定の自動化など、競技運営そのものを変える可能性があります。

世界の舞台で得た経験と技術を、次の大会へ。HAWKCASTはセーリング競技のトラッキング技術を進化させ続けます。


リンク


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(この記事は、N-Sports tracking Lab による大会トラッキング運営サポートの記録です。)

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