GP01(KYOCERA GPSマルチユニット)の位置精度

2022年10月25日

こんにちは。今回は、よくご質問いただくGPSの精度についてレポートいたします。また今後SLASの精度検証結果などもこちらのブログに載せて行きますので、お楽しみにしていてください。

GNSSView
GNSSView

GP01(GPSマルチユニット)のGNSS仕様

GP01 (GPSマルチユニット)
GP01 (GPSマルチユニット)

GP01とは、京セラ社が製造販売している製品「GPSマルチユニット」をベースに、スポーツトラッキングに特化するために、特別なカスタマイズがされた商品となっています。ちなみにGPSマルチユニットの後継機である「ビーコン対応GPSトラッカーGW」という製品もあり、弊社でもこれをGP02として取り扱い致しております。

GP01の具体的な仕様は以下の通りです。

  • 製造メーカー:KYOCERA (Made in Japan)
  • 型番:LU1CM013(カスタマイズ)
  • 重量:約63g
  • サイズ:約83×49×13.8mm
  • 電池容量:1,500mAh
  • 使用可能衛星:GPS/GLONASS/みちびき (L1C/A)
  • 位置情報更新間隔:1秒
  • データ送信間隔:5秒
  • 通信:LTE-M SORACOM PLAN-D(docomo回線)
  • 加速度センサー内蔵
  • 動作時間:約10時間連続動作

※残念ながら防水性がありません😂 水上でご利用の際は、別途防水ケースをお使いください🙇‍♂️

みちびきが出す信号 L1C/AとL1Sについて

よく「みちびき対応」と表記されるGNSS製品がございますが、厳密には以下のように対応が異なります。

みちびきが出す信号は以下の種類があり、通常のみちびき対応ハンディタイプのGNSS製品では、L1C/Aに対応している製品が多いようです。今回テストするGP01も、L1C/Aのみの対応になっています。

・衛星測位サービス:信号 L1C/A, L1C, L2C, L5
・サブメータ級測位補強サービス:信号 L1S
・センチメータ級測位補強サービス:信号 L6

ちなみにL1S(サブメータ級測位補強サービス)による補強サービスとは、衛星からの信号は大気の進む距離により誤差がでると言われており、その誤差補正することが可能となる技術で、衛星測位サービス単体よりも優れた測位性能が得られると言われています。L1Sに対応するには、それに対応したGNSSレシーバーが必要です。

そのほかにも、L1Sには災危通報サービスという衛星から気象庁の災害情報を配信するサービスも使えるんです🤩

実験方法

十分に空が見える公園(周囲に高い建物がない場所)で試験を実施しました。テスト仕様は以下の通りです。

実験方法

実験結果

2種類のグラフにプロットしてみました。

円グラフでは、半径3mの旋回で得られた位置データの平均値を中心座標としています。中心座標からの距離を縦軸&横軸にしています。赤い◯ は半径3mの円が理想的に得られるであろう軌跡を表しました。紐を柱に結びつけた関係で、3〜50cmは短くなっているかもしれません😅

実験結果@鎌倉海浜公園

動き始めの30秒間くらいをオレンジの線で示しています。動き始めは誤差が大きいことがわかります。一般的にGNSSレシーバーは動き始めてから、これまでの速度や方向から補正(ドップラー効果とかを使い)するそうなので、徐々に位置精度が高まります。

気になる位置精度ですが、およそ1m以内に収まっているようにこの実験では見受けられます。

今回は比較的良好な結果が得られたのではないでしょうか😀

ただ注意点としては、衛星の受信が不安定になる場合、やはり誤差が出てしまいます。例えば、
・高い建物に囲まれた場所(45度くらいまで見上げて目の前に建物が見える環境:空が見づらい)
・デバイスのアンテナの向きが天頂を向いておらず、電波を受信しづらい
などは注意が必要です。
特に後者は、精度をしっかり出す場合は重要なファクターです。アンテナには信号の受信方向に対して特性がありますので、安定して衛星からの信号を得られない場合、誤差が大きく表示されます。

今回のレポートは以上です。次は最強の精度を目指して開発している「試作SLAS受信機」の結果について書きたいと思います。お楽しみに〜