マラソン大会のGPS安全管理|救護スタッフの位置把握で事故対応を迅速化 

HAWKCASTのGPSマップが入ったタブレットを持つ笑顔の男性スタッフ
GPSを活用したリアルタイムの位置把握と救護DXのイメージ

「選手が倒れた。でも今どこにいるか分からない」——マラソン大会の救護現場では、こんな場面が実際に起きています。広大なコースに数百人の選手が散らばる中で、救護スタッフが現場に駆けつけるまでの「数分」が命を左右することがあります。

私たちN-Sports tracking Labは、リアルタイムGPS位置情報サービス「HAWKCAST 安心ナビ」を通じて、全国のマラソン・トレイルランニング大会の安全管理を支援してきました。今回は、マラソン大会でGPSを安全管理に活用する具体的な仕組みと効果をお伝えします。

マラソン大会の安全管理が難しい3つの理由

マラソン大会は、他のスポーツイベントと比べて安全管理が特に難しいとされています。その理由を整理します。

1. コースが広大すぎる

フルマラソンの場合、コース全長は42.195km。トレイルランでは100kmを超える大会も少なくありません。全コースにスタッフを配置することは現実的ではなく、何か問題が起きても「今どこで起きているか」が瞬時に分かりません。

2. 参加者全員の状態を把握できない

数百人から数千人が参加する大会では、個々の選手の状態をリアルタイムで確認する手段がほとんどありません。熱中症や脱水、転倒・骨折などの緊急事態が発生しても、選手本人か付近のランナーが気づいて報告するまで、本部には何も伝わらないのが現実です。

3. 無線・電話が繋がりにくい環境

山岳コースや郊外コースでは携帯電波が弱いエリアも多く、スタッフ間の連絡が取れなくなることがあります。信越五岳トレイルランニングレース(100mile)のような過酷な環境では、通信手段の確保自体が課題になります。

GPS安全管理システムで何が変わるか

GPSを活用した安全管理システムを導入すると、大会運営の現場は大きく変わります。具体的に見ていきましょう。

救護スタッフの位置が地図上でリアルタイム表示される

HAWKCAST 安心ナビでは、各救護スタッフ・運営車両が持つGPSデバイスの位置を、1秒間隔で管理本部のモニターに表示します。「救護チームが今どこにいるか」が瞬時に分かるため、トラブル発生地点に最も近いスタッフを即座に派遣できます。

実際に本システムを導入した「グラン・ツール・せとうち」では、救護車両・メカニック・回収車・移動本部のすべてにGPSを装着して運用しました。運営スタッフからは「対応スピードが格段に上がった」「スタッフの安心感がまったく違った」という声が上がっています。

大会当日の本部受付に並ぶGPSトラッカー端末とHAWKCAST管理画面のノートPC
実際の大会本部受付におけるGPSトラッカーの準備と管理用パソコン

選手からのSOS通知を位置情報つきで受け取れる

参加者のゼッケンにQRコードを印刷し、スマートフォンで読み込むと、現在地情報とともに緊急通報が本部に届く仕組みです。「ケガをして動けない」「体調が悪くなった」といった状況を、位置情報つきで即座に本部へ伝えられます。

Mt FUJI100での導入事例では、「夜間で視認が悪い状態でも状況を正確に把握できる」と高評価をいただきました。夜間のトレイルレースで選手の位置を正確に把握できたことは、運営側・選手側の双方にとって大きな安心感につながりました。

リタイア者の迅速な把握と回収

長距離レースでは途中棄権(リタイア)が発生します。リタイア者の位置がリアルタイムで分かれば、回収車をすぐに向かわせることができます。これにより、選手が山中や人気のない場所で長時間待機する状況を防げます。

項目 GPS未導入の場合 GPS導入後
緊急時の対応時間 10〜30分以上 5分以内(最寄スタッフへ即時指示)
スタッフの現在地把握 電話・無線で都度確認 地図上でリアルタイム確認
選手からのSOS 口頭・電話のみ(位置不明) QRコードで位置情報つき通報
リタイア者の回収 位置確認に時間がかかる 位置情報で即時派遣

HAWKCAST 安心ナビの技術仕様

「GPSって難しそう」と感じる方も多いですが、安心ナビの運用は非常にシンプルです。

デバイスの特徴

使用するGNSSトラッカーは重さ約63g。スタッフのポケットやベルトに入れるだけで使えます。

手のひらサイズの軽量な小型GPSトラッカー端末(安心ナビ)
手のひらサイズの軽量・堅牢なGPSトラッカー端末
  • 測位頻度:位置毎秒更新、5秒間隔でデータ送信
  • 通信:SORACOM セルラー(LTE-M)
  • バッテリー:連続11時間30分(毎秒取得)
  • 可視化:救護本部モニター / モバイル端末対応

運用の流れ

大会当日の運用はとてもシンプルです。

  1. スタッフ・車両にGPSデバイスを装着
  2. 参加者にQRコードつきゼッケンを配布
  3. 管理本部でHAWKCASTの管理画面を起動
  4. 地図上でスタッフ位置をリアルタイム確認しながら運営

特別なIT知識は不要です。スマートフォンやタブレットでも確認できます。

どんな大会規模に対応できる?

信越五岳トレイルランニングレース(100mile)のような日本最大級の大会から、数十人規模の中小規模レースまで対応しています。

規模別の活用イメージはこちらです。

大会前に設定を終えて並べられた大量のGPSトラッカー端末
大規模大会に向けて設定・充電を終え、ずらりと並べられたGPSトラッカー
大会規模 主な活用シーン
大規模(500人以上) 全コースの救護体制管理・選手全員の位置把握
中規模(100〜500人) 救護スタッフ・運営車両の位置管理
小規模(〜100人) GPS付きレンタルデバイスで低コスト導入

トレイルラン、ウルトラマラソン、トライアスロン、ロードレース、サイクリングイベントなど、さまざまな競技・フォーマットに対応できます。

よくある質問

GPSデバイスは購入が必要ですか?

いいえ、レンタルプランをご用意しています。大会ごとのスポットレンタルも可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

山岳コースでも電波は繋がりますか?

SORACOM LTE-Mを使用しており、山岳エリアでも比較的安定した通信が可能です。ただし、深山部など電波の届きにくい地域では通信が途切れる場合があります。事前の電波調査をおすすめしています。

バッテリーはどのくらい持ちますか?

毎秒取得モードで約11時間30分です。3分ごと取得モードに切り替えると18時間以上の連続稼働が可能です。24時間を超えるウルトラレースの場合は複数デバイスの交換運用をご提案しています。

導入までどのくらい時間がかかりますか?

お問い合わせから最短2週間での導入が可能です。初回はセットアップのサポートを行いますので、IT知識がなくても安心してご利用いただけます。

マラソン以外のスポーツイベントにも使えますか?

はい、トレイルラン・ウルトラマラソン・トライアスロン・サイクリングロードレース・セーリングなど幅広いスポーツイベントに対応しています。石垣島・宮古島トライアスロンでも大好評いただきました。

まとめ

マラソン大会でGPSを活用した安全管理を導入すると、次の3つの大きな変化が生まれます。

  • 救護スタッフの現在地をリアルタイムで把握→緊急対応を大幅に迅速化
  • 選手からのSOS通知を位置情報つきで受信→正確な場所への即時派遣
  • リタイア者の位置を即座に確認→回収時間の短縮

「選手の命を守る」ために何ができるか——私たちは技術でその答えを提供し続けます。大規模レースから小規模大会まで、まずはお気軽にご相談ください。

導入事例

Posted by 鈴木 拓也