複数レースも同時把握。国スポ・セーリングを「3Dトラッキング」で完全可視化
滋賀県・琵琶湖。
日本最大の湖を舞台に、「第79回国民スポーツ大会(わたSHIGA輝く国スポ)」セーリング競技が開催されました。

広大な湖面で、全国47都道府県から集結した約400艇が熱戦を繰り広げましたが、運営・観戦の現場には、セーリング競技特有の大きな課題がありました。
それは、「複数のレースが同時多発的に行われ、しかも陸からは遠すぎて見えない」という問題です。
HAWKCASTは今回、この大規模大会において「マルチトラッキングシステム」と「3D観戦モード」を導入。
さらに国スポチャンネル(ライブ配信)とも連携し、「見えないレース」を「特等席での観戦体験」へと変革しました。

同時進行するレース。琵琶湖の広さが生む「死角」
国スポのセーリング競技は、成年・少年、男女、そして異なる艇種(ウィンドサーフィン等含む)が入り乱れる大規模イベントです。


1. 把握できない「全体像」
レースエリア(海面)は複数に分かれ、それぞれでスタート時刻も異なります。
「今、A海面では成年男子がスタート」「B海面では少年女子がフィニッシュ間近」といった状況が同時進行するため、観客はおろか、運営本部ですら全エリアの状況をリアルタイムに把握するのは困難でした。
2. 伝わらない「戦術」の面白さ
ヨットレースの醍醐味は、風を掴むためのコース取りや、他艇との駆け引きにあります。
しかし、陸上から双眼鏡で眺めるだけでは、遠くの白い帆が動いていることしか分かりません。
「なぜ今タック(方向転換)したのか?」「どちらが風上で有利なのか?」
そうした戦術的な面白さが、視覚情報不足のために伝わっていませんでした。
解決策:3Dモード×ライブ実況で「レースの解像度」を上げる
HAWKCASTは、これらの課題に対し「情報の集約」と「リッチな可視化」でアプローチしました。
① 大規模マルチトラッキング
多数の参加艇のGPS情報をクラウドに一括集約。
タブレット一つで「エリアA」「エリアB」を切り替えたり、あるいは全エリアを一覧表示したりすることで、運営本部が「今、どこで何が起きているか」を即座に把握できる仕組みを構築しました。

② ライブ配信との融合(国スポチャンネル)
今回のハイライトは、「国スポチャンネル」の無料ライブ配信との連携です。
ドローンによる上空からの「迫力ある映像」に、HAWKCASTの「正確なデータ」を組み合わせました。
- ドローン映像:現場の空気感、波の様子、選手の表情を捉える。
- トラッキング解説:映像に重ねて、現在の順位や航跡を表示。「あ、今右海面の風を掴みにいきましたね」といった戦術的な実況解説が可能に。
導入効果:セーリング観戦のDX
この取り組みにより、現地およびオンラインでの観戦体験は大きく向上しました。
戦況と戦術の「完全把握」
「どの県がリードしているか」が一目瞭然になり、応援にも熱が入りました。
また、3Dモードやトラッキング画面を通すことで、ルールに詳しくない視聴者でも「赤色のチームが良いコースを通ったから抜いたんだ」ということが直感的に理解できるようになりました。
「セーリングって、こんなに頭を使うスポーツだったんだ」という発見を、多くの視聴者に届けることができました。
[3Dモードの観戦例]
https://youtube.com/shorts/FnA0HSXk-Ao
運営判断の迅速化
運営側にとっても、全エリアの進行状況が手元で見えるメリットは絶大でした。
風の急変によるコース短縮や、運営艇の再配置など、データに基づいた迅速な意思決定が可能になり、スムーズな大会運営に貢献しました。
今後の展望
国スポのような大規模大会において、HAWKCASTのようなトラッキングシステムは、もはや「あれば便利」なものではなく、公正で安全、かつ魅力的な大会運営のための「インフラ」となりつつあります。
HAWKCASTは、複雑な自然環境で行われるスポーツの「見えない価値」を可視化し、選手・運営・観客のすべてをつなぐ架け橋として、これからも進化を続けます。
N-Sports tracking Lab合同会社代表の横井です。
主に技術開発を中心に投稿します。愛知県出身、鎌倉市在住、趣味はウインドサーフィン。
ハードウェア、バックエンド、フロントエンドまで開発しております。







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