九州を駆ける「見えないレース」を歓声に変える。ツール・ド・九州のトラッキング運用事例
2025年10月、九州の雄大な自然を舞台に、国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州 2025」が開催されました。今回は、長崎ハウステンボスのクリテリウムからスタートしました!




公道を長時間・長距離にわたって封鎖し、時速60km以上で駆け抜けるロードレース。
その迫力は圧巻ですが、運営の裏側には、広大なフィールド競技ゆえの「切実な課題」がありました。
「選手が今どこにいるのか、正確には分からない」
今回、HAWKCASTはこの課題に対し、全出場選手へのトラッキングデバイス装着という大規模ソリューションを提供。
観戦者、運営スタッフ、そして選手自身にどのようなメリットをもたらしたのか、その全貌をご紹介します。
公道レースの「3つの死角」
ロードレースは、スタジアムスポーツとは異なり、状況把握が極めて難しい競技です。
1. 観戦の「待ちぼうけ」
沿道で待つ観客にとって、目の前を選手が通過するのは一瞬です。
「あと何分で来るのか?」「誰が逃げているのか?」
情報がない中での待機はストレスとなり、効果的な応援プラン(先回りして複数箇所で見るなど)も立てられません。
2. 交通規制解除の「プレッシャー」
公道レースでは、一般車両への影響を最小限にするため、最後尾が通過し次第、速やかに規制を解除する必要があります。
しかし、山間部などで正確な最後尾位置が把握できないと、「まだ選手がいるかもしれない」という安全マージンを過剰にとらざるを得ず、解除が遅れる原因となっていました。
3. 選手の「安全管理」
中継カメラが映すのは先頭集団が中心です。
後方で落車や機材トラブルが発生し、選手が一人で動けなくなっていても、発見が遅れるリスクが常にありました。
解決策:小型デバイスで「全選手」を可視化
HAWKCASTが導入したのは、自転車専用アタッチメントを用いた小型トラッキングシステムです。
競技を邪魔しない専用設計
ロードバイクのサドル下にスマートに装着できる小型・軽量デバイスを採用。
空気抵抗や重量増を極限まで抑え、選手のパフォーマンスに影響を与えることなく、長時間稼働を実現しました。



導入効果:レースに関わる「全員」へのメリット
① 観客:「いつ来るか分かる」から、応援が熱くなる
観戦アプリで全選手の位置を公開。
「あと5分でここを通過する!」と分かれば、観客のボルテージは最高潮に達します。
また、通過後はすぐに車で先回りして次のポイントへ移動するなど、無駄のない「追っかけ応援」が可能になりました。
映像とライブトラッキングを組み合わせて高度な観戦を楽しむ方も!
② 運営:交通規制解除を「秒単位」で最適化
最後尾車両や、遅れた選手の正確な位置がリアルタイムで本部に表示されます。
「最後尾、XX地点を通過。規制解除OK」
確実なデータに基づく指示出しが可能になり、地域住民への負担を減らしつつ、安全な運営を実現しました。

③ 放送:中継映像に「深み」をプラス
YouTubeライブ配信においても、このデータが活躍しました。
「先頭集団と第2集団のタイム差」「ゴールまでの残り距離」といった重要データをリアルタイムで提供。
映像だけでは伝わりにくいレースの駆け引きを、数値で補完し、より分かりやすい中継を実現しました。

今後の展望
都市型マラソンや駅伝など、公道を使用するスポーツイベントにおいて、「位置情報の活用(交通規制DX)」は必須の要素となりつつあります。
安全を守り、運営を効率化し、そして観戦をもっと楽しくする。
HAWKCASTは、フィールドスポーツの新しいスタンダードを作り続けていきます。
N-Sports tracking Lab合同会社代表の横井です。
主に技術開発を中心に投稿します。愛知県出身、鎌倉市在住、趣味はウインドサーフィン。
ハードウェア、バックエンド、フロントエンドまで開発しております。







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